令和6年度福山市民病院指標

福山地区では唯一の日本胆道学会指導施設(胆道指導医3名)であり、胆管結石による閉塞性黄疸・急性化膿性胆管炎などに対する緊急内視鏡治療を非常に多く施行しています。また、超音波内視鏡による生検(EUS-FNA)などにより、数多くの膵癌の診断を行っており、膵頭部癌による閉塞性黄疸に対する内視鏡的ステント留置術も精力的に行っています。
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医・指導医を中心に、数多くの気管支鏡検査を施行し、超音波プローべを使用したEBUS-GSによる経気管支肺生検も数多く施行しています。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医や日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医が在籍しており、胸部腫瘍の化学療法や間質性肺炎の診療経験も豊富です。
3名の日本血液学会専門医(うち1名は指導医)により、ブレンツキシマブ・ベドチンやポラツズマブ・ベドチン等を使用した、最新の非ホジキンリンパ腫の薬物療法を行っています。
複数の日本消化器内視鏡学会専門医を有し、胃癌の早期診断に努め、数多くの早期胃癌の内視鏡的治療を実施しています。

小児科の入院は肺炎や急性気管支炎などの呼吸器感染症が多くを占めます。また、入院を必要とする小児は呼吸困難を伴っていることが多いことも特徴です。当院はアレルギー疾患を専門としているため、食物アレルギー負荷検査の入院が多いことも特徴のひとつです。

経皮的カテーテル心筋焼灼術とは、発作性上室性頻拍、心房頻拍、心房細動、心室頻拍といった不整脈疾患に対して根治を目的として行う治療です。3Dマッピングシステムを併用することによって、より高い初期成功率や安全性が得られています。現在、クライオアブレーション（凍結凝固心筋焼灼術）、パルスフィールドアブレーションも導入し、安全な治療を目指しています。また、徐脈性不整脈や心不全などに対するペースメーカーも積極的に行っております。
経皮的冠動脈形成術は心臓の血管、経皮的血管拡張術は四肢動脈・腎動脈・鎖骨下動脈等の狭窄や閉塞病変に対して行う治療です。高齢者や糖尿病・慢性腎不全・透析症例等の増加に伴い、狭窄部位の多い場合や複雑な形態を有した症例が増加していますが、バルーン、薬剤溶出ステントなど拡張器具が進歩し、更に硬い石灰化病変はロータブレータ、ダイヤモンドバック、IVLという機器を駆使し、安全に治療が行えるよう努力しております。これらの機器により治療の成功率は高く、また標的病変の再治療率は5％未満と良好です。
EVT（血管内治療）は、間欠性跛行(歩くと足が痛む、重い、だるいといった症状)や安静時疼痛、足部の潰瘍・壊疽があれば下肢動脈、原因不明の心不全や難治性高血圧、腎障害があれば腎動脈、手の虚血症状があれば鎖骨下動脈や上肢動脈を精査し、治療を検討します。いずれも症状改善に伴う患者様の満足度が非常に高い治療です。当院では、治療の行える施設のほとんどない難治性の重症下肢虚血病変も積極的に治療を行っており、形成外科、整形外科、皮膚科、内科などと協力しながらより良い治療を目指しています。

当院は救急医療・がん診療を診療の柱とした地域の基幹病院であり、それらの疾患が診断群分類別患者数の上位を占めています。結腸癌、胃癌、肝・胆道癌などの消化器癌、高齢者のヘルニア手術、良性疾患としての胆石手術などが中心となっております。すべての疾患に対するアプローチ法はロボット支援手術を含めた低侵襲手術が多数を占めます。

我が国において前立腺癌は男性固形癌の罹患数第一位を占め、罹患数・死亡者数共に近年増加傾向です。癌確定診断の為の検査として前立腺組織生検があり、PSA腫瘍マーカーにて早期発見が可能で、生検による確定診断、及び手術などの症例数増加がDPC分類上位を占める要因となっております。癌診断率向上のためMRI融合生検を導入し、近隣からの紹介患者に対応しています。腎、及び上部尿路上皮癌は我が国において緩やかに増加傾向にあり、好発年齢である中高年層の相対的な人口比増加が増加の一因となります。病期Ⅰ・Ⅱでは根治治療としてロボットを含めた鏡視下手術の適応ですが、県東部で同手術に対応できる施設は限られており、当院は医療圏を超えた紹介患者にも対応してる現状があります。

当科の手術で最多を占めるのは、骨粗鬆症を基礎とした高齢者に発生する転倒などの低エネルギー外傷による大腿骨近位部骨折です。大腿骨頸部骨折は骨折部の転位が大きい場合、人工骨頭挿入術を行い、転位が軽度な場合にはプレート固定を行います。大腿骨転子部骨折に対しては、髄内釘による固定が主に行われます。いづれの手術も、術後早期に歩行訓練が可能であることが最大の利点です。次に多いのは脊椎に対する固定術ですが、これは高エネルギー外傷から、脆弱性骨折まで幅広い患者様が適応となり、早期リハビリテーション開始のためには、非常に有効な手術です。また、脊椎慢性疾患で脊椎不安定性がある場合には脊椎固定術を、脊髄神経障害がある場合には脊髄除圧目的に椎弓切除術や椎弓形成術を行っています。人工膝関節置換術（膝）は、高齢者の変形性膝関節症に対する手術で、除痛効果に優れており、今後も増加が予想されます。原則として、外傷例に対しては早期離床を目指して早期手術治療を行い、慢性疾患では症状の重症度に応じて手術適応を決定しています。

原発性乳がんの手術（75%程度はセンチネルリンパ節生検の対象）を多数行っています。温存手術は3割程度であり、一次乳房再建も適応症例には行っています。また、遺伝性乳癌卵巣癌症候群症例には、積極的に対側乳房予防切除及び両側卵管卵巣切除を実施しています。周術期化学療法は安全性を第一に考え、初回は原則3日の入院で行い、転移再発の繰り返す薬物療法（特に化学療法や分子標的薬）導入時は、入院で開始しています。その際、CVポート(中心静脈リサ(読み不明)ーハ(読み不明)ー）を増設後に化学療法を実施する症例が多数あります。癌関連有害事象が既に発現している症例では集学的治療を行い、PSやADLが改善するまで入院加療としています。転移再発の治療は患者さんの希望があればできるだけ粘り強く行うようにしています。緩和ケア科とともに緩和医療をを実施しています。

療を要する白内障症例も積極的に加療しています。網膜剥離などの緊急疾患はできるだけ早期に治療できる体制をとっています。高齢化が進み、加齢黄斑変性症や緑内障などの疾患が増加しています。病初期より治療することで視力・視野を保持できるよう努めています。

1番目疾患は、進行卵巣がん・卵管癌・腹膜癌の初回治療、またはその再発に対する抗がん剤治療です。2番目疾患は、主として子宮筋腫または子宮腺筋症に対して子宮摘出を施行する症例であり、腹腔鏡下手術では困難な巨大子宮筋腫の症例が多いです。3番目疾患は、子宮頸部上皮内癌と高度異形成に対する手術であり、いわゆる子宮を残して子宮頸部の一部を摘出する手術をする症例です。4番目疾患は、子宮頸部上皮内癌や高度異形成に対する手術であり、子宮温存の希望がない場合に行う症例です。5番目疾患は、進行卵巣がん・卵管がん・腹膜がん、またはその再発に対して抗がん剤とベバシズマブを併用した抗がん剤治療を行った症例です。

耳鼻咽喉科で治療が行われる頻度の高い症例が当科でも症例の上位を占めています。その中でも入院を必要とする扁桃周囲膿瘍、喉頭浮腫のような急性感染症が比較的多くなっています。

救急科で診療する疾患は、多発外傷・心肺停止（原因は心原性、外傷、呼吸不全など様々）・重症熱傷・重症敗血症・急性薬物中毒と多岐にわたります。その中で、最も診療している疾患は多発外傷です。　ただ、多発外傷患者は患者の状態が治療後に安定すればそれぞれ、整形外科・脳神経外科・外科などの各科に転科となるため、最終的に、当科が診療し転院・退院を行う外因性疾患としては、急性薬物中毒が残るため、上記のような表記となります。
重症熱中症、重症低体温症も多臓器不全を呈しているケースが多く、救急科が全身管理を行っています。頭蓋・頭蓋内損傷に関しては、多発外傷の1分症としての頭部外傷が多く、あまりに重篤な状態では手術適応とはならないため、頭蓋内の手術適応外患者として全身管理を主体とした管理を当科にて行っています。
その他、重篤な敗血症・敗血症性ショックの症例については内科と当科で加療を行っています。

他科と連携して24時間365日体制で救急患者を受け入れており、脳卒中(脳血管障害)と頭部外傷が多い傾向にあります。脳卒中の中では脳梗塞が多く、MRI／CT／脳血管撮影／SPECTなどの諸検査を用いて評価し、必要な治療を個々の症例に応じて選択しています。投薬を主とする内科的治療が多いですが、必要に応じてバイパス手術や頚動脈内膜剥離術や頚動脈ステント留置術等の外科的治療も行っています。またカテーテル治療による経皮的脳血栓回収術も行っています。さらにリハビリテーションも早期に開始しています。外傷に関しては、当院では多発外傷が多いのが特徴で、救急科の全身管理のもと、複数科が関与しながら治療に携わっています。頭部外傷については、ICU・HCUでの厳格な監視・モニタリングを行い、必要に応じて迅速な手術治療等が行える体制を整えています。

2024年の手術総件数は186件で、その内訳は原発性肺癌81件、気胸・肺嚢胞20件、転移性肺腫瘍18件、外傷21件、縦隔腫瘍7件、胸膜・リンパ節生検5件、良性肺腫瘍11件、膿胸・縦隔炎13件、その他10件でした。術前治療の必要な進行癌を除き完全胸腔鏡下手術が殆どであり、肺悪性腫瘍から気胸、膿胸、肋骨骨折手術など救急疾患まで幅広く対応しています。2023年9月からロボット支援手術を開始、2024年までに20件の手術を行ってます。

開心術、胸部および腹部大血管手術、また末梢血管手術（血行再建、バイパス、血栓除去、シャント手術（新規、再手術、カテーテル的拡張術等））、静脈瘤手術(カテーテルアブレーション、静脈抜去術））と、幅広く心血管手術を行っています。胸部、腹部大動脈は開胸、開腹、カテーテル治療（ステントグラフト）から症例ごとに最適なものを選択し、施行しています。側胸部からの小切開での心臓手術を導入し、手術件数も増えています。

小児外科は、主に15歳までの小児の外科的な治療を専門的に行う診療科です。腹部や胸部の病気、頸部の先天的な異常など幅広い病気の外科治療を行っています（心臓や脳、骨折などの治療は行いません）。また、小児泌尿器科の病気も治療の対象としています。小児外科での手術は、鼠径ヘルニアが最も多く、停留精巣や臍ヘルニアも多く手術する疾患です。急性虫垂炎は大人でも小児でも多くみられる疾患です。当科は全国的な傾向と同じく、これらの疾患の入院治療を多く行っています。

悪性腫瘍切除術等は基底細胞癌、有棘細胞がんを中心とした皮膚がんの手術を行っています。欠損の大きさに応じて植皮や皮弁を行っています。良性新生物は粉瘤や脂肪種など様々な良性腫瘍の切除を行っています。帯状疱疹は重症の帯状疱疹の入院治療を行っています。膿皮症は切開排膿などを行っています。脱毛症は急性期の円形脱毛症に対しステロイドパルスなどを行っています。

肝臓・胆道・膵臓領域の症例数が特に多く、胆道癌・膵癌に対する内視鏡的ステント留置術や、胆管結石摘出のための内視鏡的乳頭切開術が手術患者数の上位を占めています。クリニカルパスを使用し、効率的に診療や看護を進めるため、偶発症などが無ければ4－8日程度で退院可能です。
地域がん診療連携拠点病院として多数のがん薬物療法を行っています。薬物療法の進歩により長期的に生存される患者さんが多く、抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル(CVポート)の造設が必要となります。当院では平均2日の入院で造設しています。
早期胃癌の内視鏡的治療件数も多く、平均7-8日の入院で治療が可能です。
救命救急センターを有する高度急性期病院のため、連日数多くの消化管出血患者が紹介・搬送されます。当院は1両日中に緊急内視鏡を施行し、内視鏡的止血術を行っております。術後の経過は良好で、多くの患者が10日以内で退院、あるいは転院します。

胆石・胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術は、待機・緊急手術ともに増加し、ここ数年は100例を超えています。また、近年のがん臓器別の症例数を反映して大腸がん（結腸）に対する腹腔鏡下手術が増加しています。鼠経ヘルニアに対する前方アプローチ手術、腹腔鏡下鼡径ヘルニア手術は例年通り行われています。胃がんに対しては腹腔鏡からロボット支援手術の割合が増加しています。がん薬物療法に関しては切除不能進行がんや、術後再発症例に対しても積極的に取り組んでおり、そのための抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用埋込型カテーテル留置も増えています。

経皮的カテーテル心筋焼灼術とは、発作性上室性頻拍、心房頻拍、心房細動、心室頻拍といった不整脈疾患に対して根治を目的として行う治療です。3Dマッピングシステムを併用することによって、より高い初期成功率や安全性が得られています。現在、クライオアブレーション（凍結凝固心筋焼灼術）、パルスフィールドアブレーションも導入し、安全な治療を目指しています。また徐脈性不整脈や心不全などに対するペースメーカーも、積極的に行っております。冠動脈形成術は、全国的に減少中で当院でも減少してきております。ただ、急性冠症候群での患者の割合が多く、重症患者の比率が多い状態となっています。経皮的血管拡張術は四肢動脈・腎動脈・鎖骨下動脈等の狭窄や閉塞病変に対して行う治療です。EVTは間欠性跛行(歩くと足が痛む、重い、だるいといった症状)や安静時疼痛、足部の潰瘍・壊疽があれば下肢動脈、原因不明の心不全や難治性高血圧、腎障害があれば腎動脈、手の虚血症状があれば鎖骨下動脈や上肢動脈を精査し、治療を検討します。

大腿骨近位部骨折に対する骨折観血的手術（大腿骨、K046）、人工骨頭挿入術（股、K0811）は、高齢者の転倒などによる脆弱性骨折であり、当科の四肢外傷手術の多くを占めております。また、脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術は、高エネルギー外傷から脆弱性骨折まで幅広い患者さんが適応となり、早期リハビリテーション開始のために非常に有効な手術です。人工膝関節置換術（膝、K082）は、高齢者の変形性膝関節症に対する手術で、除痛効果に優れており、今後も増加が予想されます。

網膜硝子体疾患・緑内障疾患・緊急疾患（外傷・網膜剥離など）の治療を積極的に行っています。白内障については、遠方の診療所からの紹介の方や高齢者、家人の協力が得られにくい方については入院治療で対応しています。高齢化が進み、加齢黄斑変性症や緑内障などの疾患が増加し、手術加療を要する症例が増えています。

我が国において前立腺癌は男性固形癌の罹患数第一位を占め、罹患数・死亡者数共に近年増加傾向です。PSA腫瘍マーカーにて早期発見が可能となり、手術・放射線治療症例数増加がDPC分類上位を占める要因となっております。癌診断率向上のためMRI融合生検を導入し、近隣からの紹介患者に対応しています。また、高齢の前立腺癌患者に対する治療として、内分泌治療としての外科的去勢術が費用対効果が高く、当院では積極的に行っています。腎、及び上部尿路上皮癌は我が国において緩やかに増加傾向にあり、好発年齢である中高年層の相対的な人口比増加が増加の一因となります。病期Ⅰ・Ⅱでは根治治療としてロボットを含めた鏡視下手術の適応ですが、県東部で同手術に対応できる施設は限られており、当院は医療圏を超えた紹介患者にも対応している現状があります。膀胱癌のうち筋層非浸潤膀胱癌は再発を繰り返す事が知られており、5年間で約半数が再発するといわれています。病期Ⅰでは経尿道的内視鏡手術の適応となりますが、当該地域で同術式を行う病院が減少傾向にあり、当院において同術式が集中しています。経尿道ステント留置術は、結石や外傷・悪性腫瘍に伴う尿管狭窄・閉塞に対するドレナージ術として、院内外からの紹介患者に対応しています。

原発性乳がんの手術（75%程度はセンチネルリンパ節生検の対象）を多数行っています。温存手術は3割程度であり、一次乳房再建も適応症例には行っています。また、遺伝性乳癌卵巣癌症候群症例には、積極的に対側乳房予防切除及び両側卵管卵巣切除を実施しています。周術期化学療法は安全性を第一に考え、初回は原則3日の入院で行い、転移再発の繰り返す薬物療法（特に化学療法や分子標的薬）導入時は、入院で開始しています。その際、CVポート(中心静脈リザーバー）を増設後に化学療法を実施する症例が多数あります。癌関連有害事象が既に発現している症例では集学的治療を行い、PSやADLが改善するまで入院加療としています。転移再発の治療は患者さんの希望があればできるだけ粘り強く行うようにしています。緩和ケア科とともに緩和医療をを実施しています。

扁桃摘出術、副鼻腔炎手術、小児の鼓膜チューブ挿入術といった耳鼻咽喉科手術の頻度の高い疾患が当科でも上位を占めています。鼓膜チューブ挿入術は手術後入院し、当日退院となっています。

子宮全摘術は、主として子宮筋腫・子宮腺筋症などの良性疾患や早期子宮がん、子宮脱に対する手術であり、腹式と膣式で子宮を摘出しています。卵管が卵巣癌の発生母地であるとの根拠が確立された現在では、卵巣温存の場合でも子宮摘出時には全例両側卵管も摘出しています。緊急帝王切開は、分娩停止や胎児機能不全、子宮内感染、常位胎盤早期剥離など、急速遂娩が必要だが、経腟分娩では時間が掛かる場合に行う手術です。　子宮頸部（腟部）切除術は、主として子宮頸部上皮内癌や高度異形成に対する子宮頸部円錐切除術を指し、子宮摘出せずに完治を目指す術式であす。選択帝王切開は、既往帝王切開や骨盤位、児頭骨盤不均衡、前置胎盤、双胎妊娠等、経腟分娩では母児のリスクが高い症例に対して行い手術です。子宮悪性腫瘍手術は、文字通り子宮がんに対する手術であり、子宮頸癌と子宮体癌が対象となります。

2024年の手術総件数は186件で、その内訳は原発性肺癌81件、気胸・肺嚢胞20件、転移性肺腫瘍18件、外傷21件、縦隔腫瘍7件、胸膜・リンパ節生検5件、良性肺腫瘍11件、膿胸・縦隔炎13件、その他10件でした。肺癌手術症例は、拡大切除以外ほぼすべて胸腔鏡補助下に施行し区域切除の割合が増えています。増加傾向の高齢者肺癌に対して症例ごとにリスク対応を行い、肺葉切除・区域切除では平均して術後10-14日で退院し、部分切除では術後5日程度で退院されています。転移性肺癌手術症例は18件で、十分な治療効果を担保するために、合併症なく最低限の術後肺機能低下で止め、Systemicな状態に対する将来的な化学療法の妨げとならないようにしています。気胸・肺嚢胞手術症例は18件で術前評価を行い、手術適応症例に対しては胸腔鏡での低侵襲手術を行ってます。

高齢者や開腹既往、手術リスクの高い患者に対してはステントグラフト内挿術を、その他の患者では瘤切除術を施行しています。また、心房細動に対してのウルフ大塚法を積極的に行っており、上位に挙がっています。

断端形成術は、糖尿病や透析患者など血流障害から生じる足趾壊死に対し行っています。症状により足趾からさらに近位で行っています。ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術は、乳がんに対する乳房切除術後、組織拡張器により皮膚を拡張した後に行っています。一次二期再建と二次再建があります。皮膚悪性腫瘍切除術単純切除は、基底細胞癌、ボーエン病、有棘細胞癌の転移のない症例に対し行っています。毛巣洞は、すべて臀部で成人です。四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術は、脂肪腫や弾性線維腫、Schwnnomaなど筋肉内や筋肉下の比較的深い位置に存在する腫瘍を摘出します。デブリードマン（100ｃｍ2未満）は、熱傷を含む外傷や壊死性筋膜炎などで創治癒遅延に至っている慢性創傷に対し、創を新鮮化しその後の植皮などの創床形成するため行っています。眼瞼内反症手術（皮膚切開法）は、小児の先天性のものと高齢者のものがあり、ほぼすべて下眼瞼でHotz変法を行っています。

小児外科は、主に15歳までの小児の外科的な治療を専門的に行う診療科です。腹部や胸部の病気、頸部の先天的な異常など幅広い病気の外科治療を行っています（心臓や脳、骨折などの治療は行いません）。また、当科では小児泌尿器科の病気も治療の対象としています。小児外科では鼠径ヘルニアの手術を最も多く行っており、腹腔鏡で行っています。停留精巣や臍ヘルニアも多く手術しています。急性虫垂炎は大人でも小児でも多くみられる疾患で、こちらも腹腔鏡で手術しています。当科の手術の種類は全国的な傾向と同等です。

高齢化社会に伴い、軽度の頭部外傷後に慢性硬膜下血腫を発症して紹介となるケースが多く、慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術の件数が多くなっています。慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術では、術後1週間程度で退院となります。脳腫瘍については、原発性脳腫瘍だけではなく、転移性脳腫瘍(他の癌の脳転移)も増えています。これらは手術と放射線治療を組み合わせて治療を行うことが多いです。さらに腫瘍の種類によっては化学療法も実施します。頭蓋内血腫除去術の対象となる頭蓋内出血は、頭部外傷によるものと脳卒中(脳血管障害)によるものがあります。保存的加療となることが多いですが、出血の部位と程度によっては手術が必要となります。

多発外傷の診療は、救急科が中心になって行っており様々な部位の手術が施行されていますが、患者の状態が治療後に安定すれば、それぞれ整形外科、脳神経外科、外科などの各科に転科となります。一方で脊椎、脊髄外傷に関しては人工呼吸器管理が継続して必要となるケースもあり、その場合には救急科が転院まで主科で治療を継続しています。その結果が上記のような表記となります。

悪性腫瘍切除術は基底細胞癌、有棘細胞がんを中心とした皮膚がんの手術を行っています。欠損の大きさに応じて植皮や皮弁を行っています。良性新生物は粉瘤や脂肪種など様々なの良性腫瘍の切除を行っています。