本文
⾷道がんは、患者さんご本⼈が病状を正しく理解したうえで治療⽅法について医師と話し合い、納得して主体的に治療を続ける必要があります。たとえ進⾏した状態でも、治療の⼯夫により満⾜していただける結果を得ることができると考えております。
原因については詳しく分かっていませんが、喫煙、アルコール多飲などががん発⽣に影響しているようです。50歳以上の男性に多く、特に喫煙、飲酒歴の⻑い⼈は1年に1回の内視鏡検査をお勧めします。
病状、病期によってさまざまな治療法があります。
リンパ節転移の可能性がなく完全に切除できるものならば、内視鏡を使って切除しますが、内視鏡による深達度診断が100%ではないところが問題であり、少しでもリンパ節転移の可能性があるならば現段階では最も成績が良好な⼿術を基本としています。
頚部、胸部、腹部リンパ節郭清を伴う⼿術(3領域リンパ節郭清⼿術)を基本としています。また、治療成績向上のために化学療法(抗がん剤の使⽤)や 放射線療法と⼿術を組み合わせて治療を⾏う場合もあります。
しかし⾷道がんの⼿術は消化器領域の中で最も体に負担をかける治療法のため、最近ではStage I,II,IIIでは⼿術せず、根治的な放射線化学療法を選択される⽅も増えています。放射線照射範囲が広く、放射線照射と抗がん剤投与を同時に⾏い、放射線線量も抗がん剤の⽤量も多く、治療法としては決して体に優しい治療法ではありませんが、⾷道や胃の機能が残り、⼿術の傷がないなどの利点があり、病期によっては⼿術と同等の成績が報告されています。当院では、放射線治療科と連携して放射線治療を取り⼊れており、選択枝の1つになり得ると考えています。
がん⾃体が周囲の臓器に浸潤していたり、広範囲にリンパ節転移がある、あるいは肺や肝臓などの臓器転移がある場合は、化学療法(抗がん剤の使⽤)、放射線療法あるいはその両⽅による治療を基本としています。遠隔臓器転移がない場合には先の放射線化学療法にて⻑期⽣存を望める事もあります。
当科では、現時点での信頼し得る情報を基にしながら、豊富な経験に基づいた診断と治療を⾏ってまいります。