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循環器診療の原点は“救急”です。その基本は“受け入れること”であり、受け入れ可能かどうかが救命率に直結するため、“常に受け入れること”が当科の使命と考え、日々努力しております。特に急性心筋梗塞や院外心肺停止の治療は一刻を争うため、24時間365日最良の救急循環器治療が提供できる体制を取っています。今年からインペラ(補助循環用カテーテル)も使用可能になり、心原性ショック症例に対する治療の選択肢が増え、救命率の向上に期待しております。ただ、この4年間は、新型コロナウイルス感染症の流行により、受け入れがかなわない時も多々あり、ご迷惑をおかけしております。
日本循環器学会・日本心血管インターベンション治療学会・日本不整脈心電学会の教育施設であり、冠動脈疾患、末梢動静脈疾患、徐脈性不整脈、頻脈性不整脈、心不全、高血圧を中心に成人の循環器疾患全般に対して良質で安全な治療を提供すべく日々努力しております。
カテーテル手技を用いた侵襲的治療、薬物治療、心臓リハビリテーションの3つの柱を中心に治療を行っています。
冠動脈疾患や末梢動静脈疾患は、経皮的冠動脈形成術(PCI)や末梢動脈の血管内治療(EVT)にて治療を行いますが、高齢患者や糖尿病・透析患者の増加に伴い、治療に難渋する症例(高度石灰化や慢性完全閉塞病変)、またいろいろな併存疾患を持った症例が増加していますが、総合病院の強みである、それぞれの専門の診療科と協力しながら治療方法を工夫し、安全な手技を心掛けています。
上室性頻拍、心房細動・粗動、心室性不整脈などの頻脈性不整脈には、カテーテルアブレーションにて、徐脈性不整脈や高度に心機能が低下した心不全症例には、ペースメーカーの埋め込みを行っています。心房細動におけるアブレーションにおいては、心臓の負担軽減および将来的な心不全回避も目標の一つになるため、長期予後を考慮した治療戦略を念頭に治療に当たっております。アブレーション治療再発例や心臓手術後の難治性不整脈症例の治療成績も良好です。
カテーテル手技は、あくまで治療の選択肢の一つであり、薬物治療、心臓リハビリも積極的に行い、ADLを維持しながら、早期の退院を目指しています。
心不全の状態改善を目指し、医師・看護師・理学療法士・薬剤師・管理栄養士を含めた多職種が一丸となって包括的な心臓リハビリを入院急性期から退院後まで積極的に行っております。2014年7月に広島県の福山・府中圏域における「地域心臓いきいきセンター」に指定されて以降、地域医療機関と連携を密にとりながら心不全パンデミックに対処できるように奮闘しております。
冠動脈疾患(慢性冠症候群、急性冠症候群)
末梢動静脈疾患(下肢動脈狭窄、腎動脈狭窄、鎖骨下動脈狭窄など)
重症下肢虚血(足趾にいきなり潰瘍ができたり壊死をおこします)
頻脈性不整脈(心房細動、粗動、房室結節回帰性頻脈、WPW症候群、心室頻拍など)
徐脈性不整脈(洞機能不全症候群、徐脈頻脈症候群、房室ブロックなど)
心臓弁膜症(大動脈弁狭窄症、閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、閉鎖不全症など)
心不全(虚血性心疾患、不整脈、心筋症、高血圧、弁膜症を原因とするものなど)
高血圧
肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症
2022年度
心臓カテーテル検査 859例
冠動脈形成術 465例
末梢動脈形成術 113例
アブレーション 193例
ペースメーカー植え込み術 156例
植込型除細動器、心臓再同期療法 13例